2024.3.12
介護保険制度
施設の種類
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者
増田 高茂(ますだ たかしげ)

介護保険制度の使い方、利用できるサービス

介護保険制度

介護保険制度の仕組みが複雑と感じる方もいると思います。簡潔にまとめると介護保険とは介護が必要になった方が様々な介護サービスを、自己負担を抑えて利用できる公的保険制度です。今回は介護保険制度の使い方や申請方法、当社の介護サービスについて説明します。

介護保険制度はどうやって使うの?

介護保険料は納めているけれど、仕組みや利用方法が分からないという方もいるのではないでしょうか。介護保険制度の概要を解説します。

介護保険制度の概要

介護保険制度の仕組み

出典:静岡市発行「静岡市の介護保険」令和4年度版

介護保険制度は40歳以上の方が全員加入し、介護保険料を国や自治体に納めます。40歳~64歳の方は第1号被保険者、65歳以上の方は第2号被保険者と分かれています。介護サービスの利用対象は第1号被保険者ですが、第2号被保険者も特定の疾病がある方も利用できます。市区町村に要介護認定を受けることでサービスを利用できるようになります。また、要介護度は期限付きのため、期限が到達する度に更新手続きを行います。

介護保険料の減免制度

介護保険料の納付額の減額ができる減免制度があります。対象者は災害により、住宅等の財産に著しい損害を受けた時や、生活状況が生活保護基準以下で保険料の納付が困難な場合等です。市区町村に介護保険料の減額申請を行い、審査結果により減免制度が活用できる場合があります。

介護保険サービスを利用するまでの流れ

介護保険サービスを利用するには市区町村への手続きが必要です。介護保険サービス利用までの流れを見ていきましょう。

①市区町村の担当窓口や地域包括支援センターに相談する

  • ➁基本チェックリストの質問に回答する
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  • 質問項目に回答し、日常生活に必要な機能が低下していないか調査します。結果により介護保険サービス受給のための申請をするか判断します。
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  • ③要介護認定の申請をする
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  • 必要書類を市区町村に提出します。
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  • ④認定調査・認定審査が行われる
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  • 認定調査は市区町村の調査員が自宅に訪問し、普段の様子等をヒヤリングします。認定調査結果と主治医が記入する「主治医意見書」を元に判定会が行われ、要介護度が確定します。
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⑤判定内容が通知される

要介護度は要支援1,2、要介護1~5、非該当(自立)のいずれかで区分されています。

各状態の平均的な状態

出典:静岡市発行「静岡市の介護保険」令和3年度版

※上記の表に示した状態は平均的な状態です。実際に認定を受けた人の状態がこの表に示した状態と一致するとは限りません。

⑥ケアマネージャーを決め、ケアプランを作成する

ケアマネージャーと契約後、ケアマネージャーの所属する居宅介護支援事業所を市区町村に届け出ることでケアマネージャーが確定します。契約しているケアマネージャーが利用者や家族と相談してサービスの利用計画「ケアプラン」を作成します。

  • ⑦サービス事業者を決め契約する

ケアマネージャーとどのようなサービスを利用するかを決めたら、そのサービスを行う「サービス事業者」と契約し、利用を開始します。サービスによっては契約前に見学や体験利用ができる場合もあります。なお、介護保険ではケアプランに記されたサービスに限定されますので、サービスを追加利用したい場合はケアマネージャーと相談してケアプランを修正する必要があります。

介護保険サービス利用料の負担割合と高額介護サービス費

介護保険サービスを利用したら利用料を支払います。この章では介護保険サービス利用料の負担割合と高額介護サービス費について解説します。

介護保険サービス利用料の負担割合

介護サービス利用料の負担割合は年金を含む所得により負担割合が決められます。基本は1割負担ですが、一定以上の所得のある方は2割や3割の負担になることもあります。要介護認定を受けると市区町村より「介護保険負担割合証」が届き、負担割合が記されています。「介護保険負担割合証」も期限があり、毎年所得により負担割合が決められます。

高額介護サービス費

介護サービスの自己負担には収入の区分による月額の上限があります。区分は下記表を参照ください。様々な介護サービスを組み合わせて利用すると自己負担の上限を超える場合もあります。上限を超えた分は市区町村に申請すると高額介護サービス費として払い戻されます。また、医療費と合算することもできます。1年間にかかった高額介護サービス費と医療費の本人負担分の合算による上限もあります。上限を超えた場合、申請により超えた分は払い戻しされます。

高額介護サービス費_自己負担の上限額

介護保険制度で利用できるアクタガワの介護サービス

介護保険制度で利用できるサービス

アクタガワには介護保険制度で利用できる幅広い介護サービスを提供しています。介護付き有料老人ホーム、グループホーム、デイサービス、小規模多機能型居宅介護、訪問介護、夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、福祉用具貸与、特定福祉用具販売、住宅改修があります。ここではこれらのサービスについて解説します。

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームは身体介護と家事が困難な方の家事を行う生活支援のサービスを受けられる老人ホームです。基本的な料金は定額制です。

当社の介護付き有料老人ホームは要支援1~要介護5まで入居できます。介護職員が24時間体制で常駐し、生活援助や身体介護を行っています。日中は看護師も勤務しており、リハビリ専門職も配置されています。また、コンセプトである「五感の生活」を大切にし、季節ごとのイベントの実施や檜の香りを楽しめる檜風呂も設置しています。

また、アクタガワでは介護保険の適用ではありませんが、サービス付き高齢者向け住宅を運営しており、介護サービスと組み合わせて利用することで、介護付有料老人ホームに近い暮らしを実現しています。

アクタガワが運営する介護付き有料老人ホームはこちら

アクタガワが運営するサービス付き高齢者向け住宅はこちら

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)

グループホームは認知症と診断された要支援2~要介護5の方が入居できます。24時間体制で介護職員が常駐し、生活援助や身体介護を行っています。共同生活介護という名前の通り、入居者同士が協力して食事作りや掃除等の家事をやったり、入居者と職員が一緒に家事をやったりといった共同生活を送ります。1ユニットの定員は5~9名と少人数のため、きめ細かな介護を受けられることが特徴です。

当社のグループホームは1ユニット定員9名です。理学療法士、作業療法士などのリハビリ専門職も勤務し、日常の生活動作からできることを増やす生活リハビリを導入していることが特徴です。

アクタガワが運営するグループホームはこちら

デイサービス

デイサービスは自宅で生活する高齢者が日中通い、生活援助や身体介護を受けたり、レクリエーションやリハビリを行ったりする施設です。利用対象者は要介護1~要介護5ですが、要支援1.2の方を対象とした総合事業の「通所型サービス」も同時に運営しています。定員は施設ごとに10名~50名程と異なります。介護職員だけでなく、看護師も配置されています。

当社のデイサービスは生活リハビリやケアリラクゼーションを導入していることが特徴です。ケアリラクゼーションは手や足のマッサージを行うことで利用者にリラックスを促し、心身のバランスを整えます。

小規模多機能型居宅介護

小規模多機能型居宅介護はデイサービスのような通いサービスとショートステイのような宿泊サービス、訪問介護のような訪問サービスを状態に合わせて組み合わせ利用できるサービスです。利用対象者は要支援1~要介護5です。1つの施設、顔なじみの職員の元で24時間過ごすことができるのが大きな特徴です。

当社の小規模多機能型居宅介護はレクリエーションだけでなく、リハビリ専門職が勤務し生活リハビリを導入しています。通いサービス利用日はご家族の帰宅時間に合わせて利用時間を延長し、夕食を提供できるといった臨機応変な対応も特徴です。当社の小規模多機能はグループホームと併設も多く、グループホームや他の施設入居希望の方が入居できるまでの期間、利用することも可能です。

訪問介護

訪問介護は自宅にホームヘルパーが向かい、身体介護と生活援助のサービスや介護タクシーと呼ばれる通院等乗降介助があります。利用対象者は要介護1以上です。身体介護と生活援助の中で各利用者に必要な支援を行います。生活支援では日常生活に必要な買い物・洗濯・食事作り・掃除等を行いますが、訪問介護は家事代行ではないため、本人のできない部分を支援することが目的となります。ケアプランに沿ってサービス提供するため、支援内容や1回当たりの訪問時間、1日の訪問回数は曜日ごとに異なります。当社では身体介護と生活援助のサービスを提供しています。

夜間対応型訪問介護

夜間対応型訪問介護は、夜間のトイレ介助やオムツ交換、水分補給など、介護する側にとっても負担の大きい夜間の介助を行うためのサービスです。定時で訪問する場合と、コールボタンで呼ばれて訪問するパターンとあります。

当社ではヘルパー通報サービスという名称で運営しており、夜間の排泄介助はもちろんですが、24時間体制で体調不良の訴えなどに対応できるサービスとして運営しています。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

ヘルパーコール

定期巡回・随時対応型訪問介護は1日数回の定期巡回と緊急時の随時対応といったサービスを組み合わせられます。定期巡回は利用者の状態に合わせて必要な身体介護を1日に数回定期的に行います。随時対応は利用者の体調不良や転倒で困った時などに通報してホームヘルパーに来てもらうことができます。利用対象者は要介護1以上です。

当社の定期巡回・随時対応型訪問介護は、自宅にコールボタンを設置します。それにより、24時間対応で相談したい時は通話でき、緊急時に通報すると自宅に訪問します。定期巡回は必要なくても、一人暮らしが不安な方が緊急時のために利用することも可能です。

ハートライフ千代田の定額ヘルパー通報サービス(定期巡回随時対応型訪問介護看護)について

福祉用具貸与

介護用ベッドや車いすなどは高額で、介護が必要な方にとっては大きな負担となります。また、身体状況が変わることもあるため、それに合わせた適切なものを利用する必要があります。福祉用具貸与はそのような前提をもとに、介護用品をレンタルできる仕組みです。

特定福祉用具販売

浴室で使うものや排泄で使うものなどの衛生用品はレンタルして使いまわさず、購入して利用します。この際の費用について介護保険が適用されます。

住宅改修

介護生活における環境の整備、例えば浴室の手すり設置やトイレの洋式化といった介護を目的としたリフォームは最大25万円を上限に介護保険が適用されます。適用されるのは介護が必要な方の生活に必要な場所に限定されるなど、住宅改修の計画にはきちんとした理由書が必要となります。

介護保険制度を上手く使って無理のない暮らしを

こちらの記事では介護保険制度の概要や介護保険サービスを利用するまでの流れや各介護保険サービスの概要について解説しました。高齢のご家族に介護の必要性を感じたら市区町村や地域包括支援センターに相談でき、介護施設を利用開始したらケアマネージャーに相談できます。介護保険制度を利用することは、介護が必要なご本人様だけでなく、そのご家族様の生活を暗転させることに繋がります。社会保障制度に頼ることに抵抗を感じる方もいますが、上手く活用することで、無理のない生活を送ることができます。アクタガワぺんぎん介護サポートセンターでは介護保険制度の利用方法についてもご相談いただけます。また、老人ホーム等のサービスの種類について、より詳細な説明やおすすめできる施設についてご相談いただけます。お気軽にお問い合わせください。

ぺんぎん介護サポートセンター

 

静岡有料老人ホーム_資料請求
社会保険労務士 介護支援専門員 介護福祉士 第二種衛生管理者
増田 高茂(ますだ たかしげ)

多くの介護事業所の管理者を歴任。小規模多機能・夜間対応型訪問介護などの立ち上げに携わり、特定施設やサ高住の施設長も務めた。社会保険労務士試験にも合格し、介護保険をはじめ社会保険全般に専門知識を有する。現在は、介護保険のコンプライアンス部門の責任者として、活躍中。